喜久美さんと桜子が日本に帰省した。私は仕事があるので居残り。
出発の2日ほど前から桜子は寂しがっていた。「パパ、一緒に日本に来てください。」うーん、パパはお仕事があるので行けないのよ。「じゃあ、お仕事が終わったら来て。」終わらないんだよ、ごめんね。でもおじいちゃんとおばあちゃんがいろいろなところに連れて行ってくれるよ。楽しみだね!「じゃあ、週末になったら来て。」うーん、それは難しいな。でも iChat して、そしたら寂しくないでしょ。 と、こんな会話が繰り返される。こんなに将来の時間への感覚が付いてきたんだな、と改めて感心した。一年前はこんなこと言わなかった。寝て起きたら、程度の先までしか見通せなかったと思う。
それにしても今年に入ってから桜子は寂しがりやさん。ママやパパと別れるのにとても時間がかかる。会社に行くときも、「パパ、早く帰ってきてね。iChat したらすぐ帰ってきて。」わかったよ。「約束だよ。」うん。「ほんとにほんとにほんとにほんとにね。」わかったよ。早く帰ってくるよ。「指切りげんまん。(指切りげんまんをする)」じゃ、行ってくるね(てくてく)。「パパ!待って。まだ言うことがあるの。ええと、ええと、ほんとのほんとのほんとのほんとに iChat したら早く帰ってきて…(繰り返し)」。できるだけゆっくり付き合う。桜子の中の何の必要がこんな言葉になって出てくるのだろう。昔より将来が見えるようになった不安?気分を切り替えるのにまだちょっと時間がかかるだけなのかもしれない。一旦分かれてしまえば、ずっと寂しがったりはしないからね。
空港に二人を送った。セキュリティエリアでお別れ。「パパ、早く帰ってくるから待っててね。」わかったよ。「すぐ帰ってくるからね。」「iChat するからね。」約束だよ。「ほんとのほんとのほんとのほんとに早く帰ってくるからね」… ちょっと胸が痛い。ママ、桜子をよろしく。
セキュリティエリアのこっちとあっちで手を振る。ばいばーい。つづら折りの列の中、だんだん見えなくなる。ドアを通ったとき、ぽろぽろ泣き出したんだそうな。ママに高ーくあげてもらって、人ごみの中、たまにちらと見えるだけなのに、いつまでも手を振っていた。
大きくなったら、「じゃね!」なんて振り向きもしないで旅立ってゆくのかもしれない。でも、こんな時期もあったのを忘れないでね。
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