桜子は絵を描くのが好きだ。
でも一年生になってから、「私、自分の絵、だいっきらい!」と言うようになった。
「なぜ?」曰く、「クラスの他の人に比べて全然上手じゃないもん。人間の手や足だって棒みたいだし!」
言うところを聞いてみると、友達に何か言われたみたい。でも言われたのに腹を立てているだけではなくて、自分で判断して言われる通りだ、と思っているらしい。なるほど。でも、パパもママも桜子の絵が好きだけれどな。光ってて。絵ってそういうもんでしょ?
昨晩、寝かしつけながら言った。「一つ約束してほしいことがあるんだ、聞いてくれる?」「うん、いいよ。」「もう、自分の絵が嫌いだなんて二度と思わないこと。絵がかわいそうだよ。パパは桜子の絵、大好きだよ。」「いわないけれど、思ってもいい?」「だめ。思ったらだめ。思ったらそうなっちゃうんだから。」「わかった。やくそくする。」
その時に、手足が棒だとか、流れ星をどう切り抜いたらいいか分からない、とかそういう表面的なことでなくて、もっと深い所の悩みを聞かせてくれた。こんなこと考えているなんて。
「わたしね、物語を聞くと(学校では物語を絵にする)、絵じゃなくて言葉が心の中に出てきちゃうの。Words が心に浮かぶの。だから、どう描いていいか分からないの。」
確かに桜子は言葉 oriented な子だとは思っていたけれど。でも、物語を聞くのが何よりも大好きな桜子は心の中にイメージを展開するのは大得意なはず。心のイメージから絵に行かないのかな。それとも、英語の問題か。それにしてもこんな風に心の中の観察をしているなんて。教えてくれてありがとう。
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