JAXAからの発表や松浦晋也さんのブログによると、はやぶさは、ぐるぐる回るのが止まらず通信途絶のまま。2007年に帰って来るのを断念して2010年に延期したらしい。
姿勢を制御するための装置(リアクションホイールとスラスタ)が二つも壊れてしまっている上に、設計耐用年数を大幅に越えた旅。それでも、不死鳥のごとく、奇跡を起こして帰って来てほしい。
それにしても2010年とは遥かな先だ。その頃私はどこで何をしているだろう。星のかけらを取ってくるんだよ、と話す桜子も2010年には歳が倍になって9歳だ。どんな子になっているだろう。
私ははやぶさプロジェクトは、大成功だと思う。プロジェクトの目標と言う意味では、今までに誰もやったことのないことを既にいくつもやり遂げた、という科学技術上の成果があるだろう。しかしそれ以上に私は人のファクタの成功を沢山感じた。
一番最初にはやぶさについての記事を書いた時にも思ったが、こんなに興奮させてくれた日本の宇宙開発プロジェクトはあっただろうか。これには、はやぶさチームや松浦晋也さんのブログなど*1を通じて、豊富な情報が逐次共有されてきたことによる臨場感が大きかったと思う。そこに人間のドラマが見えた気がした。結局人を動かすのは事実の記述ではなくて、人だ。宇宙開発プロジェクトが人に興奮を沸き起こすのはとても重要だ。それでこそ予算への支持が得られる。その道に進もうという若者を引きつける。チームの力だって何倍にもなる。*2
もう一つ、このしぶとい探査機を支えたしぶといプロジェクトマネジメント。諦めないオプティミズム。不可能を可能にするチーム。もちろん、共有された情報から垣間みた姿だけれど、このプロジェクトマネジメントスタイル、そしてチームがプロジェクトを通じてつけた自信、それ自体が大きな成果じゃないだろうか。
はやぶさプロジェクトは、科学技術上だけじゃなくて、こういう風にも成功していると思う。
ぜひ、はやぶさ2を。プロジェクトを次につなげてほしい。それから、4年半後には、ぜひはやぶさを地球に返してやってほしい。
*1: 新聞記事(全てオンラインだけれど)はあまりおもしろくなかった。この「人」のファクタが抜けていたから。科学技術も結局は人が主役なのよ。
*2: 他のプロジェクトでも情報の共有を強化してほしい。それには予算や人間の力が必要だろう。はやぶさほど華々しいプロジェクトでなくても、でもとても重要だと思う。