昨日、かねてから予定していた鼻の手術をした。人の手術の話を聞きたい人もあまりいないと思うが、同様な手術をするかも知れない人のために軽く書く。
近年慢性的に耳に水がたまっていたので、かかりつけの小林先生に、優秀な耳鼻咽喉科の先生 Deborah J. Freehling を紹介していただいた。CT で検査したところ、慢性副鼻腔炎と、それから鼻の隔壁がジグザグに曲がっている鼻中隔湾曲症が見つかった。慢性副鼻腔炎は薬で努力したのだけれど、なおらず、両方手術しましょうといことになった。
手術のしばらく前に、それが内視鏡による鼻からの手術であること、それからそのリスクについて説明があった。リスクには、失明もあってちょっと動揺する。先生は二十何年間やって来たがそんなことになったことはない、とちょっと安心させてくれる。先生は付近で開業しておられるのだが、手術は El Camino Surgery Center の施設で行う。 手術は全身麻酔で2時間日帰り!おそらく手術後1-2時間で家に帰れるだろうとのこと。二日は口で息をすることになる。一週間半は会社を休む準備を。その他手術前の注意、それから手術後の家でのケアなどについて説明がある。
手術二日前、手術前の検査、と言っても全般的な健康、血圧とか体重とか。
手術当日、妻に送ってもらって El Camino Surgery Center に到着。ここの病院のスタッフには感心させられた。どの人も、自分の名前を名乗って挨拶し、とても丁寧に次に何を行うかを説明し、また安心させてくれようとする。今からこの針を刺して、血管のための麻酔を入れるので、2秒間だけ、痛みがありますよ、でもその後は何も感じないはずよ、そして点滴の針をここに刺しますね、でもこれはほとんど感じませんよ。とか。全身麻酔の準備のために点滴を付けてくれたニナさんは、とても念入りに付けやすい血管の位置を探してくれた。そして知っている限りの日本語を教えてくれた。ファムさんは見るからに優秀そうな麻酔医。手術中つきっきりで状態を見てくれるそう。皆どの人もプロフェッショナルな態度。この状態を常に保つのはたいへんなことだと思う。
ベッドが手術室に移され、手術台に移ると Deborah 先生がおられる。ファム先生が、今全身麻酔の前に眠るための薬を入れますよ、ちょっとだけ感じます、といいながら点滴のところから注射のようなものを入れる。私はそれから上の大きなライトとか周りの機器類などをもっと観察しようと思ったのだが…
気がついて目を開けたら別の部屋。看護婦さんが、終わりましたよ、にこやかに告げてくれた。終わった、、の? 鼻の中につまりものがあって、口からしか息ができない。Deboarh 先生がちらとのぞかれて、手術は成功よ、と伝えてくれた。ありがとう! 看護婦さんが鏡を持ってきてくれる。鼻の塞がった自分の顔をまじまじと眺める。時々、氷を口に含ませてくれる。気持ちいい。
持ってきた小物入れを取ってもらい、そこからホメオパスの先生にいただいた麻酔の不快感を軽くするためのレメディ Acetic acid 12c を取って口に放り込む。数分ごとに砂糖玉一粒。実は今回の手術の前に近所のホメオパスの先生にも相談していた。ホメオパシーでは耳の水を短期間には解決できなかったのだけれど、手術のダメージを軽くするための処方をしてくれたのだ。麻酔の不快感が何を指すのかわからなかったくらいだから、ファム先生の腕が良かった and/or レメディが効いたのだろう。麻酔の不快感が消えた後は Arnica と Calendula をポテンシーを下げながら数日にわたって交互に取る。
まだ眠い。ちょっと眠ったり、氷を口に含んだり、レメディを口に放り込んだり、していたら、喜久美さんと桜子が迎えに来てくれた。
家に帰るとやっぱり安心する。喜久美さんと桜子に抱きつく。あらかじめ多くの薬をもらっているので、飲み忘れないようにスケジュールを作っておいた。もらった薬は、腫れ止め Prednisone、抗生物質 Levaquin、この二つは定期的に。後は必要に応じて痛み止め HYDROCODONE/APAP を必要に応じて4時間おき。これだけ処方箋の紙が偽造防止用紙だったので強い薬に違いない。と調べてみたら、HYDROCODONE はモルヒネと同様な麻薬性鎮痛薬ですって。うわ。日本に持ち込んだら逮捕か? それから、吐き気用の座薬 PROMETHEGAN。それからレメディの Arnica と Calendula を交互に。とりあえず、レメディーを口に放り込み、しばらくたってから座薬以外を飲んで、寝る。レメティーは最初30分おき。ゆっくり眠れなくて睡眠が細切れなので、起きたら口に、という感じ。
鼻にはスポンジのようなものが詰まっているのだが、その上にガーゼがテープでとめてある。血が滲みてくるのでこれを適宜交換する必要がある。桜子が、あ、透き通ってきたよ、と血が表面に見えてきたのを教えてくれる。そして新しいガーゼをテープ付きで用意してくれる。かいがいしく看病してくれる。
恒常的な痛みはたいしたことないのだが、つらいのは口で息をすること。寝て起きたら、舌がパリパリに乾燥している。水分を口に含むと、どうしても飲み込むことになるが、その飲み込む時に鼻に圧力がかかって痛い。飲み込むたびに涙がぽろり。栄養を付けるため、喜久美さんがバナナミルクジュースを作ってくれた。ぽろりと涙を流しながら、おいしい。
この乾燥の感じを押さえるためと、吐き気が来たときのために、アロマテラピーの先生にエッセンシャルオイルについて聞く。専門科の先生にまでコンタクトしてくれて丁寧に教えてくれた。
細切れに眠る一夜。つらいねー、と思いつつ暇なので mixi にコメントを書いたりする。
手術がうまかったのか、レメディーが効いているのか、回復が早いように思う。痛み止めが切れたはずの頃になっても、痛みが増してこない。オプショナルの痛み止めはやめる。
次の日(今日)Deborah 先生の診察に喜久美さんが連れて行ってくれる。なんと鼻の中の詰め物を取ってくれた。ああ、鼻で息ができるってすばらしい! 息をしても口が乾燥しないし、飲み込んでも痛くない。まだ2、3日は噛まなくても済む食事しかできないけれど、それが終わったら思いっきり食べるぞー!
今日から鼻の洗浄をしばらく行う。これによって直りが速くなるのだそうな。暖めた蒸留水を容器にいれ、薬(と言っても塩と重曹)を溶かし、容器を押さえて鼻の中へ注入。黒くなった血の固まりを含んだ水が別の鼻から流れてきた。
日本だと全身麻酔の2時間の手術だと入院かもしれない。でも家で療養させてくれるのは嬉しいこと。
で、気分が良いので、こんなものを書いています。手術成功経過良好。